
雄大な富士山を望む静岡県。温暖な気候と豊かな自然に恵まれたこの地は、古くから酒造りが盛んな地域としても知られています。清冽な水、良質な米、そして、伝統を受け継ぎながらも革新を続ける蔵人たちの情熱。これら全てが調和することで、静岡県では個性豊かな日本酒が生まれているのです。
その歴史は古く、奈良時代まで遡ると言われています。
中世になると、武士階級の台頭とともに、さらに発展しました。歴上の戦国武将も戦いの合間にも、彼らを癒したのは静岡の地酒だったのかもしれません。
江戸時代に入ると、東海道の整備に伴い、静岡は交通の要衝として栄えました。そして、宿場町を中心にお茶栽培や漁業、旅館業と共に酒造りが盛んになり、多くの銘酒が誕生しました。旅人たちは、静岡の地酒を味わいながら、旅の疲れを癒したのでしょう。
明治時代以降、近代的な技術が導入され、静岡の酒造りはさらなる発展を遂げます。現在では、県内各地に多くの酒蔵があり、それぞれが独自の技術とこだわりを持って、高品質な日本酒を造り続けています。
静岡の風土が育む酒
静岡県の日本酒は、一体どのような特徴を持っているのでしょうか?
まず、忘れてはならないのが「水」の存在です。酒造りに欠かせない水は、静岡県では富士山や南アルプスなどの山々から湧き出す清冽な水が豊富です。この水は、軟水でミネラルが豊富であり、日本酒の味わいをまろやかにするとともに、すっきりとした後味を生み出すと言われています。まさに、静岡の豊かな自然が育んだ賜物と言えるでしょう。
そして、良質な「米」も静岡の酒造りを支えています。静岡県では、県が開発した酒造好適米である「令和誉富士」をはじめ、様々な品種の酒米が栽培されています。これらの酒米は、静岡の風土に適しており、高品質な日本酒造りに貢献しています。
もちろん、蔵人たちの技術と情熱も忘れてはなりません。静岡県の蔵人たちは、伝統的な技術を守りながらも、静岡で生まれた静岡酵母や常に新しい技術やアイデアを取り入れ、高品質な日本酒造りに励んでいます。
多彩な味わい:静岡の地酒を堪能する
静岡県では、純米酒、吟醸酒、大吟醸酒、本醸造酒など、様々なタイプの日本酒が造られており、特定名称酒比率は85%を超え、山形県に次いで全国2位の高い割合です。それぞれの酒蔵が、それぞれのこだわりを持って、個性豊かな日本酒を造り出しています。
富士錦酒造では、酒蔵見学や試飲などを楽しむことができます。蔵人たちの情熱に触れ、静岡県の日本酒の魅力を肌で感じてみてはいかがでしょうか。
静岡の日本酒と食の出会い
静岡県は、海の幸、山の幸に恵まれた、食の宝庫でもあります。静岡の日本酒は、地元の食材との相性も抜群です。新鮮なマグロやカツオ、シラスなどの海の幸と、すっきりとした味わいの日本酒は最高の組み合わせです。
そして、忘れてはならないのが静岡おでん。濃い口醤油で煮込まれた具材と、燗酒の組み合わせは、静岡県民のソウルフードと言えるでしょう。
静岡の日本酒と地元の食材を組み合わせることで、食の楽しみはさらに広がります。
静岡の酒蔵を訪ねて
静岡県には、個性豊かな酒蔵が数多く存在します。それぞれの酒蔵が、それぞれの歴史と伝統、そして、革新的な技術を持って、日本酒造りに励んでいます。
静岡県を訪れた際には、ぜひ、地元の酒蔵を訪れてみてください。蔵人たちの情熱に触れ、静岡の日本酒を味わうことで、忘れられない思い出となることでしょう。