
日本酒といえば、新潟や灘、東北といった地域を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は静岡県も、個性豊かな地酒を育む、隠れた名酒の宝庫なのです。
今回は、日本酒初心者の方にもわかりやすく、静岡の地酒の魅力をご紹介します。
日本酒の世界:大きく広がる味わいの地図
日本酒は、大きく分けて「淡麗辛口」と「濃醇甘口」の2つのタイプに分けられます。
「淡麗辛口」は、すっきりとした味わいで、キレの良い後味が特徴。
「濃醇甘口」は、コクと旨味が強く、濃厚な味わいが特徴です。
近年では、淡麗辛口の日本酒が主流となっていますが、地域や蔵によって、その味わいは千差万別。
例えば、豪雪地帯の東北地方では、冬は雪解け水を使った酒造りが盛んで、米の旨味を活かした濃醇甘口の日本酒が多い傾向があります。
日本有数の米どころである新潟県では、淡麗辛口の日本酒が主流で、「淡麗辛口の聖地」とも呼ばれています。
兵庫県の灘は、「男酒」と呼ばれる、辛口でコクのある日本酒が多いのが特徴。硬水を使用することで生まれる独特の風味も魅力です。
静岡の地酒:風土が育む、多彩な味わい
静岡県は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた土地です。富士山からの伏流水など、良質な水にも恵まれています。
このような風土から、静岡県では、淡麗辛口を基調としつつも、米の旨味もしっかりと感じられる、食中酒としてバランスの取れた日本酒が造られています。
静岡の酒造り:伝統と革新が織りなすハーモニー
静岡県の酒造りの歴史は古く、江戸時代にはすでに多くの酒蔵が存在していました。
中でも注目すべきは、昭和50年代に静岡県の研究者によって開発された「静岡酵母」です。この酵母は、吟醸香と呼ばれるフルーティーな香りを生み出す力に優れており、県内の多くの酒蔵で広く使われています。
静岡酵母は、静岡県の温暖な気候と、特に柔らかな軟水に適応した酵母であり、バナナの様な華やかな香りとともに、すっきりとした味わいを生み出すのが特徴です。 また、静岡県では、伝統的な製法を守りながら、新しい技術も積極的に取り入れています。例えば、近年では、低温発酵や長期熟成といった技術を用いることで、より複雑で奥深い味わいの日本酒が造られています。
水の恵み:富士山からの贈り物
静岡県の日本酒造りにおいて、欠かせないのが「水」です。
富士山からの伏流水は、長い年月をかけて地層を通り抜けることで、不純物が取り除かれ、ミネラルバランスに優れた軟水となります。
この清らかでまろやかな水は、静岡の地酒に繊細な味わいと滑らかな口当たりを与えています。
酒米へのこだわり:静岡県オリジナル品種「令和誉富士」
静岡県では、県内産の酒米を使った日本酒造りも盛んです。
中でも「令和誉富士」は、静岡県が開発したオリジナルの酒造好適米。山田錦を親に持つ誉富士は、心白が大きく、タンパク質含有量が少なく、溶けやすいという特性を持っています。
そのため、令和誉富士を使った日本酒は、淡麗辛口でありながら、米の旨味もしっかりと感じられる、バランスの取れた味わいに仕上がります。
多彩な味わい:食文化との調和
静岡県は、東西文化の交流点に位置し、多様な食文化が育まれてきました。そのため、静岡の地酒は、食中酒として、様々な料理と楽しむことができます。
海の幸、山の幸、静岡の豊かな食材と、静岡の地酒の相性は抜群です。
静岡の地酒:歴史と文化が醸し出す、奥深い世界
静岡県での酒造りの歴史は古く、鎌倉時代には江川酒という技術が出来上がっており、江戸時代には、すでに多くの酒蔵が存在していました。明治時代には、静岡県出身の杜氏集団、志太杜氏協会の人たちによって、現在の日本酒造りの基礎が築かれました。
静岡県は、お茶の産地としても有名です。お茶と日本酒は、どちらも発酵食品であり、静岡県の風土と文化を象徴する存在と言えるでしょう。
静岡の地酒は、歴史と文化が育んできた、奥深い味わいの世界です。
静岡の地酒との出会い:新たな発見の旅へ
静岡県の地酒は、淡麗辛口を基調としつつも、米の旨味もしっかりと感じられる、バランスの取れた味わいが特徴です。
食中酒としても楽しめる、多様なラインナップも魅力です。
ぜひ、静岡の地酒を味わって、その魅力を発見してください。
雄大な富士山を望む静岡の地で、あなただけのとっておきの地酒との出会いがあるかもしれません。