
雄大な富士山を仰ぎ見る静岡県。豊かな自然に恵まれたこの地では、古くから酒造りが盛んに行われてきました。
静岡の地酒が美味しい理由。それは、富士山の大自然が育んだ天然水にあります。
今回は、富士山麓の天然水がなぜ美味しいのか、その秘密を紐解きながら、静岡地酒の魅力に迫り、富士錦酒造をはじめとする代表的な蔵元をご紹介します。
富士山が育む天然水の秘密
富士山は、標高3,776mを誇る日本最高峰の山。その雄大な姿は、私たちに自然の力強さを感じさせます。
しかし、富士山の魅力は、その美しい景観だけではありません。富士山は、私たちに「水」という貴重な恵みをもたらしてくれる、まさに「水の山」でもあるのです。
天然のフィルターが生み出す、純粋な水
富士山に降った雨や雪は、長い年月をかけてゆっくりと地中深くへと浸透していきます。その過程で、玄武岩層という天然のフィルターを通過することで、不純物が取り除かれ、きわめて純度の高い水へと変化していきます。
玄武岩層は、細かい穴が無数に空いた構造をしています。この微細な穴が、水に含まれる不純物を吸着し、ろ過する役割を果たしているのです。
さらに、地中深くをゆっくりと流れる間に、水は様々なミネラル成分を吸収していきます。
こうして、長い年月をかけて磨き上げられた水は、まさに自然の芸術品と言えるでしょう。
ミネラルバランスの妙
富士山麓の湧水は、バナジウムやケイ素など、体に良いミネラル成分を豊富に含んでいます。これらのミネラルは、人間の健康維持に欠かせないだけでなく、水の味わいを豊かにする役割も担っています。
例えば、バナジウムは、血糖値の上昇を抑える効果や、動脈硬化を予防する効果があるとされています。ケイ素は、骨や皮膚、髪などを健康に保つために必要なミネラルです。
また、富士山麓の湧水は、硬度が低い「軟水」です。軟水は、口当たりがまろやかで、体に優しく吸収されやすいという特徴があります。
湧き水の神秘
富士山麓には、数多くの湧水スポットが存在します。
「柿田川湧水」は、毎秒10トンもの水が湧き出す、日本有数の湧水地として知られています。透明度の高い水は、神秘的なブルーに輝き、訪れる人々を魅了します。
「忍野八海」は、富士山の雪解け水が湧き出した8つの池の総称。それぞれ異なる表情を見せる池は、古くから信仰の対象とされてきました。
これらの湧水は、富士山の自然の恵みそのもの。その清らかで美しい水は、私たちに自然の神秘を感じさせてくれます。
その米を使い、岩手から造りに来る杜氏とともに酒を醸し、さらに多様な販路から皆様の元へと渡り、今日に至ります。
静岡地酒:富士山の天然水が育む、至高の味わい
静岡県では、この富士山麓の天然水を仕込み水として使用することで、個性豊かな地酒を生み出しています。
水の個性が生み出す、多彩な味わい
静岡県内には27の酒蔵が存在します。それぞれの酒蔵が、地元の湧水を使用することで、個性豊かな地酒を醸し出しています。
富士山の伏流水は、酒米の旨味を最大限に引き出し、まろやかで繊細な味わいの日本酒を生み出すと言われています。
静岡地酒と料理のマリアージュ
静岡県は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、海の幸、山の幸、そしてお茶など、美味しいものがたくさんあります。
静岡の地酒は、これらの地元の食材との相性が抜群です。
例えば、大吟醸は、繊細な味わいの寿司や刺身と合わせるのがおすすめです。
特別純米酒は、旨味のある煮物や焼き物とよく合います。
純米吟醸酒は、天ぷらや揚げ物など、油っこい料理と合わせると、さっぱりといただけます。
純米酒は、静岡おでんや、桜えびのかき揚げなど、地元の郷土料理と合わせるのがおすすめです。
静岡地酒:新たな発見の旅へ
静岡県は、富士山の大自然が育んだ天然水と、伝統の技によって、個性豊かな地酒を生み出しています。
ぜひ、静岡の地酒を味わって、その魅力を発見してください。
雄大な富士山を望む静岡の地で、あなただけのとっておきの地酒との出会いがあるかもしれません。